私が高断熱化住宅を推奨する理由
住宅の断熱性能について、お施主様の関心が集まってきていますが、
一部のハウスメーカー・設計者を除き、
なかなか浸透していないのが現実ではないでしょうか。
住環境が注目される背景
猛暑が続く日本列島
最近の猛暑により、建物の断熱性能にますます注目が集まっています。
連日記録的な猛暑が続く日本列島ですが、
毎日エアコンを付け放しにする方も多いはずです。
エアコンをつけると気になるのが電気代です。
電気代を気にして、エアコンをつけることに躊躇(ちゅうちょ)される方も少なくないはずです。
しかし、エアコンを使わずに健康的な生活ができない現実があります。
住宅の断熱性能と電気代の関係
エアコンの電気代は、住宅の断熱性能と密接に関係しています。
例えば、家を「クーラーボックス」として考えてみます。
(キャンプや運動会などで使う機会が多いと思いますが、冷えたまま「飲み物」や「食材」を運ぶことができます。)
断熱性能が良い家は、「ケース内の温度が上がりづらい」のに対して、
断熱性能が悪い家は、「ケース内の温度が上がりやすい」
と置き換えることができます。
つまり、上がる温度が少なければ、エアコンが運転される時間が減る。
すなわち、快適な環境のまま電気代が安くなるということです。
断熱性能が良い家に住むということは、
「快適に住む」ということと、
「光熱費を抑える」という、
これまで住宅では相反するものとして考えられていたものを
同時に実現できるメリットがあります。
これらは全てお施主様のメリットです。
なので、私は断熱性能の良い家を推奨します。
断熱性能の良い住宅を普及させる為の方法の一つとして、
このプロジェクトを立ち上げました。
高断熱住宅を理解する設計者が増え、
その技術が一般的なものになれば、広く普及するはずです。
一般設計者に普及しない高断熱住宅
断熱に関する知識があっても、
実務に設計に落とし込める設計者は決して多くないと思います。
なぜでしょうか?
一部の設計者以外に普及しない理由とは??
・「計算が解りづらい。」
・「計算がめんどう。」
・「実際に施工をした経験がないので、
どれ位の金額になるのか分からない。
自信を持ってお施主様へ提案できない。」
・「性能を試算する為の労力が設計料と合わない。」
二の足を踏んでいる設計者の悩みとして、
おおむね、このいづれかに該当するのではないでしょうか??
・「計算が簡単」
・「施工金額がある程度予想できる」
・「今までと同じ程度の労力で設計ができる」
これらが当たり前だったら、
もっと普及するはずです。
知識格差による業務独占
今は、知識のある設計者又は事業者だけがこの分野の業務を独占しています。
特に最近のハウスメーカーの動きは凄まじいものがあります。
多くのハウスメーカーで、高断熱化は標準化されつつあります。
一条工務店においては、「Q値1.0」を切る住宅の大量供給を実現しました。
この断熱性能が一般化する流れは決して止まることはないでしょう。
何故ならば、お施主様のメリットになることが間違いないからです。
いずれ、世間話の中で家の燃費について話題になることが当然になることでしょう。
高断熱化に取り組んでいない事業者は、市場での競争力を失うことになると思います。
特にこれまで「デザイン」を売りにしていた設計事務所は、
よほど特別な魅力が無い限り苦戦を強いられることになるでしょう。
住宅作家で有名な「堀部安嗣さん」「伊礼智さん」も、
パッシブデザインに取り組んでいます。
すでに、「性能が確保された上でデザインを競うステージ」へ変わっているのです。
この技術は決して一部の事業者だけで留めて置いて良いものではありません。
それでは、これまでの建築業界と何ら変わりません。
このような壁を壊す為に、
より広く技術を普及させる為に、
微力ながらこんなプロジェクトを始動させてみます。
パッシブハウス普及プロジェクト(仮)の立上げました!
「断熱性能が良い住宅」とひとことにいっても、
団体によって様々な基準があり、曖昧な基準となりがちです。
そこで、
明確な数値設定があり、
性能を図る「ものさし」となる
「パッシブ・ハウス」の考え方が最適と考えています。
パッシブハウスとは
パッシブハウスとは、ドイツパッシブハウス研究所が規定する
性能認定基準を満たす省エネルギー住宅です。
年間の暖房負荷と冷房負荷がそれぞれ15kWh/m2以下を満たす住宅を指します。
ドイツパッシブハウス研究所の唯一窓口である、
「PASSIVE HOUSE JAPAN (パッシブハウス・ジャパン)」という団体があります。
実際の設計事例や、ニュースレターを受け取れるサービスもあるので
興味のある方は、是非閲覧してみて下さい。
建物燃費ナビ
私は、「建てもの燃費ナビ」を使用しています。
「建てもの燃費ナビ」とは、CADメーカー「CPU(シーピーユー)」が開発し、
パッシブハウス・ジャパンの監修のもと誕生したシミュレーションソフトです。
庇が温熱環境に与える影響や、熱取得率など
手計算では非常に時間のかかる計算を、簡単に計算することができます。
プランを入力していくと、
以下のような計算結果が出てきます。
外皮性能や、年間暖房負荷、年間一次エネルギー消費量をシミュレーションできます。
このようなシミュレーションソフトを使うのが最も簡単な方法なのです。
このシミュレーションソフトを使うためにも、
住環境に関する知識を理解する必要があります。
まずは、
住環境に関する知識を得たいという方の為に、
「環境」に関する記事を発信しています。
環境に関する記事一覧
各記事へのリンクです。
随時増やしています。
1・基礎知識編
・ 【1-3】高断熱化と健康の関連性とは!?家庭内での死亡者数は交通事故の3倍
2・設計・実務編
・ 【2-6】形状による性能の違い! 熱環境の面で考える理想的な家のかたちとは??
・ 【2-8】住宅のエアコン選定方法!! エアコンの暖房負荷・冷房負荷計算する方法
・ 【2-9】断熱性能を上げるポイント! 上手な「換気設備」の選定方法!
その他準備中
3・施工編
・【3-1】以外に知られていない事実! 透湿防水シートの使い方に要注意!!
・【3-2】仕上一体型外張り断熱システム!! 高断熱住宅に向いている理由!
・【3-3】知ってる人しか知らないテクニック! 工事費を抑えて窓の断熱性能を上げる方法!
・【3-4】簡単にできる遮熱対策! 窓の外へかける「スダレ」
その他準備中
4・コスト管理編
その他準備中
★☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人 「まるたか」
↓「まるたか」について詳しくはこちらをご覧下さい。
★「職人」から「建築士」へ 異色の経歴を持つ建築士
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設
退職〜開業までの記録を綴った「起業の記録シリーズ」 を公開中。
「まるたかのブログ」にて実務以外の情報を発信中。
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