建築士の業務報酬基準が10年ぶりに改正されたのはご存知でしょうか。
これまでは告示15号で運用されていましたが、
実情との差異が大きくみられることから改正することになったそうです。
今回の改正では、業務内容をはじめ追加的業務などの項目が充実し、
以前のものよりも使いやすくなった印象を受けました。
各建築士会で無料の講習会を実施していますし、
国土交通省のホームページからテキスト(http://www.mlit.go.jp/common/001272062.pdf)をダウンロードすることが可能です。
今回は、忙しくてなかなか確認できない方向けに、
業務報酬基準改正点のポイントについて紹介させて頂きます。
改正のポイント
まずは、改正のポイントについて見ていきましょう。
私が特に気になった点を抜粋しております。
【その他詳細は、国土交通省のテキスト(http://www.mlit.go.jp/common/001272062.pdf)を参照下さい。】
その1|業務報酬の位置付け
今回の改正で、
業務報酬基準に準拠して適正な代金で契約締結することを努力義務として課されました。
これは、建築士の独占業務である「建築物の設計・工事管理業務」を果たす上で、建築物の安全・品質を保つ為、不当に報酬を引き下げられたり、過当競争により業務の適切な執行を妨げることを防ぐことが目的です。
もちろん、報酬は個別の契約により当事者間の合意で定められるものなので、独自に報酬を算定することも可能です。
その2|業務区分の明確化
1)業務実態を踏まえ略算表が刷新されました。
2)略算法に反映する設計・工事監理等における難易度の観点が充実しました。
3)略算法による算定対象外となる標準業務に付随する追加的な業務が明確化されました。
その3|一部の業務のみを行う場合の算定方法を規定
一部の業務のみを行う場合でも略算法を用いて業務報酬を算定できるように、業務比率表が規定されました。
これは、設計でも「基本設計」だけを行う場合、「実施設計」のみを行う場合にも対応できるようにされたものです。
まとめて行うのではなく、部分的な契約も増える昨今に対応する為に新たに規定されました。
1つ注意点があります。
注意点
この比率に入っていない業務があります。
1)前業務から後業務への引き継ぎ
2)前業務の内容を確認、チェックする業務
これらの業務は追加的な業務となるので、別で報酬を積み上げることが必要です。
以上が改正内容から抜粋させて頂いたポイントです。
テキストには、実際に業務報酬を算定する計算例や略算表の使い方などが細かく記載されています。
↓こちらのページからダウンロードできますので、是非ご覧下さい。
略算表算定時の技術者区分について
略算表を使用するにあたり技術者の人件費単価が年度ごとに変化しているのはご存知でしょうか?
略算法の計算式
略算表を計算する式は下の通りなのですが、
別添三別表より「業務人・時間」を算定して、「人件費単価」を乗じて求めます。
平成31年度設計業務委託等技術者単価
この人件費単価は、年度ごとに変化がありまして、
下が最新版(H31年版 2019年3月から使用)の単価表です。
全職種ともに、基準日額が引き上げられていますので要チェックです。
(ちなみに、H30年度の技師(C)の単価は、30,800円で1,200円増です。)
職種区分の目安について
それぞれの職種の区分の目安は以下の通りです。
『技師(C)』を基準として、比率によって換算できるようになっています。
担当技術者の区分を検討する上で、実務経験年数が目安になっているので判別しやすいですね。
さいごに
今回は、10年ぶりに改正された「建築士業務報酬基準」から改正のポイントを抜粋して紹介させて頂きました。
今後、不当に報酬が引き下げられることが無くなり、適切な報酬を得られるようになり、少しでも業界が盛り上がれば嬉しいです。
★☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人 「まるたか」
↓「まるたか」について詳しくはこちらをご覧下さい。
★「職人」から「建築士」へ 異色の経歴を持つ建築士
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務については、『ARCHITECTURE ARCHIVE 〜建築 知のインフラ~』にて情報発信中。
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