「この仕事いくらでできる?」
この言葉を聞くと、正直ドキっとします。
仕事の引合いを頂くことは非常に嬉しいことなのですが、
「ここで依頼主の希望価格より高い金額を提示したら、流れちゃうかな?」
「ここで仕事を逃したら、次はもう無いかな?」
「でも安くしすぎても、利益が出ないし...........」
といった葛藤に毎回悩まされます。
私と同じように起業間もない方、フリーランスの方は
値下げ、値引きしてでも仕事を受注した方が良いか?
という共通の悩みを抱えているはずです。
私の考えは、仕事を取るために報酬を安くするというのは、できるだけ避けたほうが良いと思います。
値引きが当たり前と考えているお客様って結構多いと思います。
その原因は、従来の料金システムにあるのではないでしょうか?
「価格はあって無いようなもの!」は建築業界だけ?
世の中には「掛け率」というものがあります。
例えば、
定価10万円のエアコンで、掛け率30%の場合3万円で購入ができます。
こんな感じで、同じ製品でも価格が大きく異なることがあります。
これは、製品だけで無く、サービス(工事や手間)でも起きています。
同じUB(ユニットバス)のリフォーム工事でも、
A社:100万円
B社: 80万円
C社: 70万円
というように価格に値段に開きがあります。
これらの現象は、建築設計事務所においても同じではないでしょうか。
国交相発表の価格標準額と実情のギャップ
建築士の業務報酬額は、国土交通省に定められています。
上の表は、2019年度の基準日額の一覧です。
技術者レベルによって単価が設定されています。
↓ 技術者レベルの見方はこちらから
いくら報酬の基準が定められているとはいえ、基準額満額で受注される方は多くないはずです。
依頼主からすれば、同じ商品(サービス)であれば安く手に入れたいという気持ちは当然であると思います。
そして、価格が安くなることは依頼主にとっては非常にメリットがあるのも事実です。
でも、安すく受注しすぎて、利益が残らなければ事業は発展しません。
じゃあどうするか?
私自身も建築設計事務所を運営していますが、この報酬額について日々悩んでいます。
きっと、独立した方が必ず通る道なのかもしれません。
今回は、私自身が実践している価格交渉テクニックについて紹介させて頂きます。
金額の不透明さを解消!見積もりを細分化する。
価格交渉テクニックといっても、やることは単純です。
やることは、
「価格を透明化する」
これだけです。
以外に多い不透明な報酬体系
建築業界だけでなく、あらゆる業種で「1式」という金額計上方法があります。
これって依頼主からすると、頼むのに躊躇するし親切でないと思います。
頼むのに躊躇する?
というのをイメージし易いのは「お寿司屋」さんではないでしょうか。
「時価」という札をみると、注文するのに躊躇しますよね。
お金持ちで無い限り、よほどお金に余裕がなければ、注文することはまずありえません。
きっと、お客様って「お寿司屋さん」と同じようなイメージを設計事務所にも感じていると思います。
そして、値段が明確でないことが、価格の不透明感を与え値下げ交渉のきっかけになるのだと考えています。
それならば、あらかじめ値段を明示しようというのが私の取り組みです。
具体的にいうと、「見積り項目の細分化」をしています。
見積り項目の細分化とは?
建物の設計・監理業務の報酬の目安に使われているのが、工事費の◯%といった、
工事費から設計・監理業務の報酬を算出する方法です。
目安としてはよいのですが、
業務内容と金額が不透明なイメージを感じるのは否めません。
そこで、”業務内容”と”金額”を細分化して提示することにしました。
【例】戸建住宅(130m2)の場合、
1)ヒアリング 【3時間】
2)役所調査 【1日】
3)現地調査 【1日】
4)企画図作成(平面・配置・立面・イメージパース 内観1面 外観1面) 【130m2】
5)外観デザイン 【130m2】
6)内観デザイン 【130m2】
7)家具デザイン 【130m2】
8)外構デザイン 【130m2】
9)実施設計図作成(意匠図)【130m2】
10)設備設計図 作成 【130m2】
11)消防審査費用 【130m2】
12)保健所審査費用 【130m2】
13)その他諸官庁審査費用 【130m2/件あたり】
14)現場監理費 【ヶ月】
15)諸官庁検査立会費 【ヶ月】
16)確認申請費用 【m2】
17)中間検査申請費用 【m2】
18)中間検査立会費用 【日】
19)完了検査申請費用 【m2】
20)完了検査立会費用 【日】
21)フラット35S 申請費用 【m2】
22)地盤調査費用【m2】
23)土地測量【m2】
24)境界確定【m2】
24)土地登記【m2】
25)建物登記【m2】
26)諸経費 【%】
といったように、必要な業務を細分化して、それぞれの単価を決めます。
そして、物件毎の建物・敷地面積と単価を掛けて、報酬額を算出します。
そうすれば、
「必要な業務」と「明確な値段」がわかるので依頼主も頼み易くなると思います。
また、値引き交渉があった場合は、
それじゃあこの項目を削りましょう!
といった減額交渉が容易になります。
なにより、値引き交渉に費やす無駄な時間を削減できることができます。
一度価格表をつくってしまえば、
後はそれ通りに進めるだけで良いですし、合わなくなってくれば修正すれば良いだけなので非常にシンプルです。
是非、実践されてみてはいかがでしょうか?
★☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人 「まるたか」
↓「まるたか」について詳しくはこちらをご覧下さい。
★「職人」から「建築士」へ 異色の経歴を持つ建築士
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設
退職〜開業までの記録を綴った 「開業の記録シリーズ」を公開中。
実務については、『ARCHITECTURE ARCHIVE 〜建築 知のインフラ~』にて情報発信中。
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