人生は20代で決まる――仕事・恋愛・将来設計 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: メグ・ジェイ,小西敦子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/04/07
- メディア: 文庫
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今年新卒の方は、だいぶ会社に慣れてきた頃でしょう。
3〜5年目の皆様は、昨年とは違った立場で仕事に取り組まれていると思います。
残念なことに、この時期に退職する方が多いそうです。
色々な原因が要因で、建築士を離れる方がいます。
その度に、
「もったいない。」
「これから建築士には将来性あるのに。」
と残念に思います。
私は35歳で「後輩」と「先輩、上司」の中間に位置する年齢です。
どちらの立場も中立な立場で見ています。
後輩の悩みや、不満をたくさん聞いてきました。
今回は、「将来を担う若手建築士の歩き方」というテーマで
よく聞く悩みやマインドセット*1の提案をさせて頂きたます。
考え方を変えるだけで、不思議と楽になります。
間違いない!建築士の未来は明るい!
若手建築士の悩み
ケース1・仕事を覚えられない!
建築の知識がなさすぎて会社に迷惑をかけている。
この悩みを一番聞きます。
責任感が強く、仕事に真剣に取り組んでるのですが、
知識が追いつかずに、納期に作業が間に合わない時に先輩や上司に指摘され、
「なんでできないのだろ〜。」と
考えてしまいます。
マインドセット1
A:できなくて当たり前!能力が最初からある人はいない!
最初から仕事ができる人はいません。できなくて当たり前です。
先輩や会社の社長さんもみんなそうです。
必ず同じような時期がありました。
しかし、先輩はその姿を絶対に見せません。プライドがあるのです。
なぜ先輩が仕事ができるのか?
それは、経験の差です。それだけです。
私が思うには、若い技術者の方が能力は高いと思います。
それは、先輩たちの生きてきた時代よりも、早く時代が変わる現代を生きてきたからです。
私は、高校生の頃に初めて携帯電話を手にしました。
スマホを持ったのは、社会人になってからです。
もっと上の世代は、最近手にしたという方も少なくありません。
しかし、皆様はどうでしょう。
物心ついた頃から、最新テクノロジーに触れているし、当然のように使いこなします。
経験を積んでいけば、先輩方と同じように活躍できます。
むしろ、最新テクノロジーを使える若い世代の方が優れた技術者になると考えています。
2・建築士に未来はありますか? 将来仕事なくなる?
この悩みも多いです。
公共工事が少なくなっていることが、ニュースで報道されますし
一部の企業を除き、昔ほど給料が上がりづらくなっていることが原因でしょう。
A:建築士に未来あります。特に若い世代はチャンス到来。
多くの方は、人が言う話を信じます。
特にテレビで報道される話は信じやすい傾向になります。
しかし、データから冷静に判断すると、
世に出ている情報が誤りであることがわかります。
根拠1 建築士の年齢分布
まずは、このデータをごらんください。
年齢分布からみますと、
登録者数
平成17年度末時点
一級建築士:322,248名
二級建築士:692,968名
木造建築士: 14,950名
一級建築士の年齢階層別登録数
20歳代 :約 2,000人
30歳代 :約 47,000人
40歳代 :約 66,000人
50歳代 :約101,000人
60歳以上:約106,000人
平均年齢 56.2歳
グラフからみて解るように、50歳代〜60歳代以上が全体の64%を占めています。
20歳代〜30歳代は全体の30%程度です。
つまり、あと10〜20年すると、一級建築士の2/3が60歳を越えることになります。20歳〜30歳代の稀少性が格段に高くなります。
若い世代は売り手市場になる時代がきます。
根拠2 住宅の着工数
私の暮らす『茨城県の住宅着工数』を調べてみました。
人によって感覚は異なると思いますが、
正直私は、「こんなに多買ったの!?」とびっくりしました。
2017年度の持家着工数は、約9,200戸です。
着工数の推移
これを年度別でみると、下のようなグラフとなります。
一番多いのは、1996年の20,367戸です。
2017年は、2009年と同じ位の着工数で少ないです。
確かに、年々着工数が減ってきているのがわかります。
しかし、2017年度の持家着工数、約9,200戸を365(日)で割ると、
1日当たり25.2戸が着工していることになります。
この数字には、賃家や分譲住宅の数は入っていません。
皆様は、どのように感じますか?
茨城県だけでも、毎日25戸が着工しているわけです。
なぜこんなにも着工数があるのに、将来仕事がなくなるなんて話題になるか。
ライバルを少なくしたい人達
仕事を自分たちのものにしたい人達
が流しているのかもしれません。
皆様は、周りの噂に騙されてはいけません。
仕事はあるのです。
きたるその時が来るまでにしっかりと技術を磨いて生きましょう!
以上が若手建築士の悩みです。
少しばかりですが、私の見解をお話ししました。
次は、若手建築士がどのように歩いてゆくか(生きていくか)を書かせて頂きます。
若手建築士の歩きかた(生き方)
私は、「職人」「施工管理」「建築士」と
それぞれの立場から建築に携わってきました。
「スーパーゼネコン」から「中小工務店」の幅広い施工業者、
そして、「公共工事」から「民間企業」といった幅広い視点から建築に携わってきました。
他の建築士さんよりも、少しだけ幅広い視点を持っていると自負しています。
皆様のこれからがさらに良くなる為、
若手建築士の皆様にはマインドセットを提案したいと思います。
1・先輩と同じことをしない!(でも良いところは徹底的にパクる)
先輩と同じ仕事の取り組み方ではいけません。
なぜなら、社会情勢は常に変化しているからです。
先輩方のやり方は、先輩方の生きてきた過去の時代の方法です。
社会の変化とともに、仕事のやり方が少しずつ合わなくなります。
先輩方が悪いわけでは決してありません。
世の中の仕組み上、止む無いことです。
大成している人たちの多くは、
その分野の先駆者(パイオニア)が多いです。
例えば、ビジュアル系バンドで生ける伝説として語り継がれる「X JAPAN」を見てみるとよくわかります。
派手なビジュアルに目がいきがちですが、
当時は誰もしていなかった、「バラエティー番組」に積極的に出演したバンドです。
当時はイロモノキャラとして扱われていましたが、
バンドマンの音楽以外の価値を生み出し、その後出て来る後輩たちの活躍の場を広げています。
若手建築士は、新しい価値の中で生きていかなければなりません。
先駆者になるのです。
そのためにも先輩達の良いところはとことんパクりましょう。
そして、後輩達が自分達を抜いていきます。
これ程嬉しいことは無いと私は考えています。
2・周りと同じことをしない
先輩だけでなく、
同僚や同世代の技術者と同じことをしていてはいけません。
なぜなら、差がつかないからです。
建築士の希少性が高まることは間違いありませんが、
それと同時に テクノロジーの進化により、技能の差がつきにくくなります。
テクノロジーによって誰でもできる範囲が広がります。
一例を挙げますと、UnrealEngine(アンリアルエンジン)を使用した「建築ビジュアライゼーション」です。
UnrealEngineとは、無料で使用できるゲームソフトなのですが、
建築の分野への応用も盛んです。
私も、実際に業務に取り入れています。
今使っているCADソフトからデータを変換することで、取り込みが可能です。
別次元のクオリティーの建築コンテンツが作成できます。
VRの普及し、ますます動画などの「ビジュアルで伝える価値」が高まります。
まだ、参入者が少ないですが、
今後間違いなく増えることが予想される分野です。
今なら先駆者になれる可能性が高い分野です。
3・常識を捨てる
「常識」は全く意味がありません。すぐに捨てましょう。
今の設計事務所では、
「建築士」=「設計する人」
「優れた建築士」=「建築基準法がスラスラ言える人」
と言う認識が常識でしょう。
それができない方は、落第者の烙印を押されてしまいます。
皆様の会社ではいかがですか?
私は最近、その常識に少々の疑問を感じるのです。
「自動作図ソフト」や「google 検索」が発達する中で、
それらの職能に差がなくなると考えています。
例えば、「google」のおかげで建築に関する情報がインターネットにあふれています。
建築基準法は、すぐに検索することができます。
「覚えられる人」=「検索が早い人」
両者は、同じ能力となる可能性は無いでしょうか?
時代やニーズの変化に順応しやすいように「常識」にとらわれない視点も
合わせもつ必要性を感じてます。
4・1級建築士は絶対にとる
1級建築士は、絶対にとりましょう。
1級建築士は、
建設業界では持っていて当たり前と思われがちですが、別の世界では違います。
明らかに、高難度の資格ですし社会的信頼性も高いです。
さいごに
間違いないです!建築士の未来は明るい!
自分を信じて進みましょう!!
★☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人 「まるたか」
↓「まるたか」について詳しくはこちらをご覧下さい。
★「職人」から「建築士」へ 異色の経歴を持つ建築士
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設
退職〜開業までの記録を綴った「起業の記録シリーズ」 を公開中。
「まるたかのブログ」にて実務以外の情報を発信中。
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