耐震等級3が必須な理由。
住宅の耐震性を判断する指標に、「耐震等級」があることはご存知でしょうか?
耐震等級とは?
耐震等級は、数字が大きいほど耐震性が優れていることを表します。
建築基準法に定められた耐力を満たす場合、「耐震等級1」となります。
一番多いのは、「耐震等級2」です。
「耐震等級2」であれば長期優良のカテゴリーに入ります。
長期優良?じゃあ耐震等級2でいいんじゃ無いの?
と、思われる方もいらっしゃるでしょう。
なぜ、私が「耐震等級3」の住宅を勧めるかというと、
耐震等級2でも倒壊する危険があるからです。
1|長期優良(耐震等級2)でも倒壊する可能性がある現実
まずは、下の動画をご覧ください。
Eディフェンスという施設で2009年10月に実施された実験の映像です。
在来工法で建てられた『普通の木造住宅(耐震等級1)』と『長期優良住宅(耐震等級2)』とに地震を仮想した揺れを与え、どの程度揺れに耐えられるかを実験した動画です。
画面の手前に見えるのが『耐震等級1の木造住宅』
奥に見えるのが『長期優良住宅(耐震等級2』です。
実験の結果、なんと耐震等級2でも倒壊してしまいました。
(手前の「普通の木造住宅」は、柱脚部が抜けてロッキング現象となった為
倒壊を免れたそうです。)
たまたま、柱脚部が抜けたことで倒壊していなかっただけなので、倒壊していてもおかしく無い状況です。
長期優良住宅が倒壊した理由は、
120mm角の柱に梁がささる部分(柱の断面欠損ができる部分)
が折れたことが原因のようです。
つまり、長期優良住宅に認定された木造住宅でも倒壊する可能性があります。
恐ろしい話です。
2|熊本地震での損傷度
平成28年4月に起きた熊本大震災の際の状況をまとめたデータがあります。
これは、「一般社団法人くまもと型住宅生産者連合会」のデータです。
くまもと型住宅生産者連合会:熊本地震復興支援くまもと型住宅先導プロジェクト執行団体
損傷ランクごとの損傷比率を表していますが、
特に注目する点は、「2000年以降に建設された建物でも、わずかですが倒壊が見られる点」です。
「耐震等級3」の住宅は、「損傷ランクⅡ(小破)」以下であることがわかります。
実際のデータからも、「耐震等級3が倒壊しにく」ということがわかります。
何千万をかけて建てた住宅が地震で倒壊してしまっては、
大切なお金が全くの無駄になります。
なので、これから家を建てるのであれば、
絶対に耐震等級3の家を持つべき!!
だと私は考えます。
どんなにデザインが良くても、
どんなに安くても、
どんなに温熱環境が良くても
倒れて住めなくなってしまったら元も子もありません。
大切な家族を守るためにも、耐震性能を優先するべきでは無いでしょうか?
現在住宅を計画中の方は、是非今の住宅の耐震性能を確認してみて下さい。
さいごに
大切なことなので2回いいますが、
これから住宅を建てる場合、耐震等級3は必須です。
どこでも地震が起きる可能性がある日本において、
地震で倒壊する可能性がある家に住むなんて怖すぎます。
不安に思われる方は、委託している設計者、工務店さんに聞いてみて下さい。
丁寧に説明してくれるはずです。
もし、明確な答えが無い場合、その業者さんとの付き合いは考え直した方が良いかもしれません。
本当に建て主のこと考えているの??
と、同じ設計者として疑問に思います。
決して焦らずに、納得できる家づくりをして下さい。
次回も宜しくお願いします。
★☆☆☆☆☆☆☆☆彡
最後まで閲覧頂きまして、
ありがとうございました。m(_ _)m
この記事を書いた人 「まるたか」
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★「職人」から「建築士」へ 異色の経歴を持つ建築士
2018年10月に設計事務所「 Samurai-architect(サムライ-アーキテクト)」を開設
退職〜開業までの記録を綴った「起業の記録シリーズ」 を公開中。
「まるたかのブログ」にて実務以外の情報を発信中。
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